オオワシについて

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オオワシ

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写真提供:猛禽類医学研究所

タカ目タカ科オオワシ(学名:Haliaeetus pelagicus pelagicus)。ロシア極東及び日本に分布しており、繁殖地はアムール川下流域、マガダン、カムチャツカやサハリン中北部。冬季は越冬のため、ウスリー沿海地方南部、朝鮮、日本に飛来する。日本では主に北日本の大きな河川、湖沼、海岸で越冬する。種としての総個体数は約4,600~5,100羽と推定。日本では北海道東部を中心に約1,400~1,700羽が各地に分散して越冬する。

猛禽類医学研究所について(HPはこちら)

猛禽類医学研究所は、北海道釧路市にある環境省釧路湿原野生生物保護センターを拠点に、保全医学の立場からオオワシやシマフクロウをはじめとする絶滅の危機に瀕した猛禽類の救護や傷病原因の究明(環境省事業)、調査研究、保護活動を行っている世界的にも珍しい野生動物専門の動物病院である。保全医学は、人間と動物の健康、さらには生態系の健康に関わる領域を連携させることを目的に、獣医学や医学の観点から生物多様性の保全を目指す比較的新しい学域であり、治療、リハビリ、さらに野生復帰後の追跡調査まで研究所が取り扱う絶滅の危機に瀕した猛禽類は、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシだけでも毎年50羽近くにのぼる。

現状と問題点

越冬のためロシアから北海道に渡来してきたオオワシは鉛中毒・車や列車への衝突事故・感電などの人間の活動が関与する原因によって命を落とすことが多い。また、ロシアのアムール川下流域およびサハリンでは、資源開発により生息数が減少傾向にある。

活動内容

・日ロオオワシ共同調査
日本では2005年より保護増殖事業が行われているが、オオワシは長距離の渡りを行うため、越冬地である日本だけではなく、ライフサイクル全体を把握するため「日ロ渡り鳥等保護条約」に基づきロシアとの共同調査等を行い国際的な保護を図っている。

・行動調査、野生復帰への取り組み
発信機を装着したオオワシを追跡し、北海道への飛来状況や日内行動、採餌場やねぐらを調査することで、具体的な保護活動に役立てている。また、北海道で保護、収容されたオオワシの野生復帰のために入院中の動物は人馴れしないように管理され、身体能力や精神面の回復を目指したリハビリテーションが段階的に行われる。リハビリは種の生態を考慮して行われるが、オオワシについては奥行き40メートルのフライングケージ内での飛翔訓練に重点が置かれている。また、野生復帰した個体が自然界で容易に生活できるよう、放鳥予定地でその時期に得られる食物をリハビリの最終段階で与えるようにしている。

・事故防止への取り組み
オオワシの列車事故は近年頻発しており、列車にはねられたエゾシカの死体を食べていたワシが列車に衝突するという、二次被害が生じている。これを防ぐために、シカの轢死体をすぐに撤去する活動が行われている。また、狩猟に使われた鉛片を摂取することによる中毒を防ぐために、北海道では2000年から鉛弾の規制に乗り出した。鉛中毒は徐々に減少しているが、規制を守らずに鉛弾を使用するハンターがいるため、今なお後を絶たない。猛禽類は見晴らしの良い場所を好んでとまる習性があるため、送電線や配電柱で感電事故が多発しており、その殆どが死に至る。このため、巣の基礎になる巨木や人工的な止まり木の基盤を設置する活動が行われている。